『究極の歩き方』を読みました。
著者はアシックスのスポーツ工学研究所、発売は2019年、講談社から。
内容/あらすじとか
1985年アシックスのシューズ、アパレルの研究部門が統合されて設立。「スポーツで培った知的技術により、質の高いライフスタイルを創造する」というビジョンを具現化するアシックスの基幹を担う研究部門。人間の身体や動作を科学的に分析することで、アスリートに限らず、一般の人々の生活に役立つ製品やサービスを継続的に開発することを哲学としている。アシックスは1980年代に「走れるビジネスシューズ」を発売、ウォーキングの研究を進め、2002年に3次元足形計測機を店頭に配備、百万人単位の日本人の足型のデータを持つ。2017年に3Dセンサーを使った歩行姿勢測定システムを、NECソリューションイノベータと共同で開発、3Dセンサーに向かって歩くだけで、その人の歩き方の特徴や歩行年齢がわかるシステムを生かして分析を進めている。(Amazonより)
『究極の歩き方』の感想/レビュー
アシックスのスポーツ工学研究所(2019)『究極の歩き方』カバー裏 講談社
陸上部だった友達に「アシックスの靴は日本人の足形に合わせて作られてるからおすすめ」という話を聞いたことがあります。それから散歩用の靴を選ぶときはアシックスを選ぶようにしていて、大きな不満を感じたこともありません。
本書ではそんなアシックスが研究し続けてきた足のデータと靴作りへのこだわりが説明されています。読み物としては少々堅苦しく専門的な言葉も多いですが、「運動用の靴ならアシックスを選んでおけば間違いなさそうだ」と思わされます。
自分の場合は、毎日散歩をしていると半年くらいで靴が壊れます。最初は2〜3万円する靴を使っており、それが半年持たずに壊れたのは大きなショックでした。歩くのは無料だと思っていたので、それが年間4〜5万円かかるとなったらアホらしくなります。そうなると靴にかける費用が削られるわけですが、安物を使って足を痛めたら本末転倒。どうすればお金をかけずに、足を守りつつ歩けるか悩みました。
その末にたどり着いたのは、中高生が使うような運動靴を二足買い、1日ごと交互に履くという方法でした。
これにより靴の寿命が大幅に伸び、一足を2年くらい使えるようになったのです。その間も試行錯誤は続き、ワークマンやホームセンターにある、より安価な靴で運用できないかとも考えました。その結果わかったのはアシックスの靴が恐ろしく使いやすいということでした。比較的安価で歩きやすい、疲れにくい、足を傷めにくい、を実感として強く感じました。
ただ自分がリピートしているのはランニングシューズ。しかし本書ではランニングシューズとウォーキングシューズでは異なる設計をしているので、目的に合った靴を使うことを推奨しています。調べてみるとどちらも値段は大きく変わらない感じ。今度の買い替えではウォーキングシューズの購入を検討しようと思います。
本書のタイトルでもある「究極の歩き方」については、特段意外性のあることは述べていない印象でした。速度はできるだけ速く、背すじを伸ばして、大股でかつ身体を上下左右に大きく揺らさないように、という感じです。強いて気になったのは男女問わず年齢を重ねるとがに股気味になっていくということ。がに股歩きにならないようには意識していこうと思います。
その他、印象に残った箇所は以下の通り。
- 加齢と共に足のアーチが崩れて変形、外反母趾や扁平足になる
- 変化の境目となるのは50歳、顕著に変化していたのは歩行速度だった
- ランニングシューズ、ウォーキングシューズでは異なる設計をしているので、目的に合った靴を選ぶこと
- 扁平足、外反母趾と運動能力に相関性はない(アスリートでも足が変形している人はいる)。
- 靴のつま先には1cmほど余裕をもたせる方がよい
『究極の歩き方』のハイライト/印象に残った箇所
人の足は50歳を堺に変化する
50歳になった時点で、自分の足形や歩き方の変化について意識するかしないかで、その後の人生が大きく変わるということです。
実は、私たちも経験的に「50歳で何かが変わるのではないか?」という仮説を持っていました。
だからウォーキングシューズを作るときも、50歳未満と50歳以上に対象を分けてきました。それが数字で裏付けられたのは自信を持って開発できるきっかけになりました(p9)
20〜50歳にかけての加齢変化は、男女ともにほとんど見られません。
それに対して50歳以降は、全体的に速度が落ちている印象があると思います。しかも、個々人で差が出てきます。70歳になっても20歳と変わらないスピードを保っている人がいる一方、90歳並みのスピードしか出せていない人もいます(p64)
究極の歩き方
- 歩行速度は、可能な範囲で速くするほうがいい(時速7km)
- あごを引いて、少し遠くを見る
- 呼吸は鼻で吸い、口から吐く
- 肩を開いて背すじを伸ばし、骨盤を立てる(腰が曲がらないよう)
- 腕は前に振り出すより、身体のうしろに引くイメージ
- ひざは曲げない(つま先を上に反らせるイメージを持つと自然とひざが伸びる)
- ストライド(歩幅)は大きく
(p92-94)
ちなみに、ウォーキング時間は自信の体力とモチベーションに合わせて10分20分30分と10分刻み、最大45分くらいがおすすめだそうです。
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