『小説家としての生き方 100箇条』を読みました。
著者は吉本ばななさん、発売は2023年、サンクチュアリ出版から。
内容/あらすじとか
『小説家としての生き方100箇条』の感想/レビュー
小説家の吉本ばななさんが日常で心がけていること、文章を書くうえで大切にしていることを100箇条述べた本。1つの項目に対して1つぶやき分くらいの短い文章で説明が付いており、1日あれば十分に読み終えることができます。どのページから開いても楽しむことができるので、毎日1項目ずつ適当に開いたところを読むみたいな使い方をしてもよさそうです。
全体を通して感じたのは、筆者が自分で考えて決めることを大切にしているということです。それが合っているかとか、良いかどうかということではなく、自分なりに様々な角度から考えて、自分の価値観で判断するということ。それが結果的に競わない、妬まない、媚びない生き方になっており、それは心身ともに健やかに生きるうえで非常に大切なことじゃないかと思いました。
同時にそういうスタンスは意識していないと簡単に忘れてしまうし、意識していてもなかなか抑えられないもの。つまり「そりゃあそう生きれたらいいけど、そういう風にできないんだよ」というのが、多くの人がぶつかるポイントじゃないかと思いました。なぜなら人は人と比べてしまうし、上手にやってる人を羨ましく思うし、多勢や強者にはヘコヘコしてしまうものなので。
けどそんな性(さが)を認めつつも、そこから離れようと意識することはできます。日常生活のなかでのクセというか、そういう自動反応に対して意識を持って舵取りをすることが大切なのではないかと思いました。
印象に残った項目
- あたりまえとされていること全部を、いったん疑ってかかること(005)
- ニーズのないものを書かない。しかし決してニーズに合わせて書かない(073、074)
- 競わない。自分だけを深く深く掘っていく(090)
- 妬まない、意地悪しない、そんなひまがあったら書きまくる(094)
- 媚びない。自分の生き方だけを強く信じる(100)
『小説家としての生き方100箇条』のハイライト/印象に残った箇所
自分でもよく分かっていない自分の気持ちを言語化する
表の意識じゃなく、潜在意識の中にある、ゴミみたいな泥みたいな、押し込めちゃって見ないようにしてきたこととか、やりすごしたりして溜めていること、それらを浄化するために書いているから、その人が意識している本人より、その人の潜在意識に読んでほしい(吉本 2023:7)
自分自身の気持ちでも、自分でよく分かっていないことはよくあります。それはうまく説明できないからフワフワした感覚になってしまっていることもあるし、自分にとって都合の悪いことや目を背けたい事実だったりを見ないために、意識から締め出していることもあると思います。
文章を書くということは、体裁や見栄で張り固められた意識をペラペラと1枚ずつめくって自分の本音に近づいていく作業。もしくは自分でもよくわからないフワっとした雲のような心境の奥へと進んでいく作業。それらの作業をせずに、またはその地点まで思考が届いていない状態で書く文章は本当の自分の言葉とは言えないのかもしれません。
文章を書くのなら、常に感覚を開いておく
今はオフだから何もしなくいいと思ってしまうと、私は怠け者だから、本当に何もしなくなる。当然頭も回転しなくなるから、どこかを少しでもオンにしておくように、感覚だけは研ぎ澄ませておく(吉本 2023:9)
占いでラッキーカラーを言われれば、外を歩いていてもそのカラーにばかり意識がいくように、文章を書いているのなら、常に文章を書く意識で世界を見ていなければいけない、という風に解釈しました。
意識の持ち方しだいで世界の見え方は変わるし、ボケっとしていたら何もかもがただただ流れていくばかりになります。ただ自分はいつも気を張っていると疲れてしまうので、意識的にボケっとしている時間を取ることも大切だと思っています。
先入観や偏見を持たずに、フラットな視点で物事を見る
自分の頭を持ったままで出かけていくと、やっぱり自分の見たいものしか見ないし、自分の感じたいことしか感じないから、あまり意味がない。家にいるのと一緒になってしまう。だからなるべくフラットでいる(吉本 2023:21)
先入観や偏見、思考や感性のクセというのは誰にでもあって、どうしてもそちらに引っ張られてしまうのは仕方ないことだと思います。しかしいつも意識しておくこと、客観的な視点を入れるようにすることで、極端に偏ることはいくらか防げるのではないでしょうか。すぐに忘れてしまうので、何度も何度も繰り返して自戒しておきたい金言です。




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