Kindleで『頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる』を読みました。
著者はアンディ・プディコム、訳は 満園真木さん、発売は2020年、辰巳出版から。
瞑想はよりよく生きるためのツールです。そしてそれは、マインドフルネスを実践するために、最適なコンディションをつくりだすためのテクニックにすぎません。自分の心の中に、つねに静かで澄みわたった場所があるのを、いつでも帰れる場所があるのを想像してみてください。そして、本書で示される具体的なエクササイズを参考に10分間瞑想を実践してみてください。その10分間は、一日をすべて自分のものにする時間です。瞑想をしなかった日をやめてしまう言い訳 にすることはせず、毎日続けてみてください。頭が「からっぽ」になる瞬間は必ず訪れます(Amazonより抜粋)
内容/あらすじとか
臨床瞑想コンサルタントの著者が、瞑想をより多くの人に知ってもらい、日常生活に取り入れられるよう解説した本。
著者は学生時代に深刻な心の悩みを抱え、仏僧になることを決意したそうです。
そしてインド、ネパール、タイ、ビルマ、ロシア、ポーランド、オーストラリア、スコットランドなど、世界各地の僧院、寺院を訪ね歩き修行。
多くの師から学んだ瞑想の技術と自身の体験、失敗談で構成されています。
感想/レビュー
瞑想が怪しいスピリチュアル的なものだという見方はもはや古い考え方。
マインドフルネスとして専門的に研究され、医療機関では様々なストレス性症状の治療に用いられています。
ネット上で検索すれば、具体的な効果とやり方を説明したコンテンツは山ほど出てきます。
自分も2018年くらいから瞑想をやっているのですが、やり方が合っているのか、しっかり出来ているのか分からず、効果も実感できていません。
具体的な効果を測ることができないのが瞑想最大の欠点ではないでしょうか。
効果が分からないからやめてしまい、思い出した時に再開する、ということを繰り返しています。
本書を読んで特に共感できたのは、著者が自分と同じような部分で躓いているところでした。
瞑想関連の書籍にありがちなノウハウ本というよりは、文章多めの物語形式になっており、小説のように楽しめたのもGOOD。
すでに瞑想関連の本を読んでいる、瞑想をやっているけどしっかりやれているのか分からない、みたいな部分で躓いている人にオススメです。
ハイライト/付箋した箇所
印象に残った箇所を引用しつつ紹介。
- 瞑想とは何なのか
- 瞑想で得られる効果
- 10分間瞑想のやり方
①瞑想とは何なのか
瞑想とは座禅を組んで「無」になることである。
多くの人はこのような誤解をしています。
しかし、瞑想は考えないこと、思考を空っぽにすることではありません。
なぜなら思考は止めようと思っても止められず、絶えず勝手に浮かんでくるものだから。
本書で紹介されている瞑想は、思考のコントロールを手放して一歩下がり、意識に注意を向けるプロセスです。
たとえば、心が青空だとするなら雑念は雲、勝手に発生して勝手に流れていきます。
瞑想とは空に雲を発生させないよう努力することでなく、流れる雲を見ているような状態なのです。
瞑想は、異なる人間になるためのものではありません。新しい人間、あるいはよりよい人間になるためのものでもありません。意識をトレーニングし、自分の考え方や感じ方とその理由を理解し、その過程を客観的に把握することです
アンディ・プディコム(2020)『頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる』(満園真木 訳) 位置No.289 辰巳出版 kindle版
人生で起こる出来事は変えられませんが、それをどう感じ、どう考えるかは自分次第。
つまり、自分の見方を変えられたなら、実質的に世界が変わったも同然。
嫌な気分を切り替えることも、夜にぐっすり眠ることも、人間関係を改善することも、不安や悲しみや怒りを和らげることも、瞑想なら可能なのです。
②瞑想で得られる効果
- 幸福感に関係する脳の部位を活性化させる
- ネガティブ感情を和らげる(不安やうつの改善)
- ストレスの悪影響(血圧、コレステロール値の上昇、心疾患、免疫力低下)を抑える
- セルフコントロール能力が高まる(感情、行動のコントロール)
- ストレス下でのパフォーマンス向上(アスリート、医者、救助隊員などに有効)
- 認知能力の改善
- 注意力の改善
- 肌が綺麗になる(ストレスが関係?)
- 妊娠の確率上昇(ストレスが関係?)
- 不眠症の改善
(高野 2000:位置No.2971)を参照
10分間瞑想とマインドフルネスの効用について調べている神経科学者は、研究結果の中で、反復の大切さを改めて指摘しています。それによれば、毎日繰り返し瞑想することだけで、脳の好ましい変化を促す十分な効果があるそうです(高野 2000:位置No.1748)
③10分間瞑想のやり方
- 背筋を伸ばして座る(椅子でもOK)
- タイマーを10分セットする
- 鼻から吸って口から吐く深呼吸を5回やってから目を閉じる
- 椅子や床に触れている体や足の感覚に集中する
- 頭からつま先まで意識していき、リラックスしている部分、強張っている部分などを感じる
- 呼吸の感触・リズムを確かめる(長いか短いか、深いか浅いか、苦しいか楽か)
- 呼吸を数える。吸った時に1、吐いた時に2、という感じで10まで数える、をひたすら繰り返す
- 10分経ったら終了。20秒ほど心を自由にして放置
(高野 2000:位置No.1411)を参照
慣れるまではやることを確認しながらになりそうです。
瞑想のやり方は様々な媒体、専門家によって微妙に違っており、これという正しいやり方はないのかもしれません。
ただ、共通して重要と言われるのが「瞑想中は何か一点に意識を集中させて、集中がそれていることに気づいたら対象に意識を戻す」というプロセスです。
その対象は音でも物でも感触でもいいわけですが、よくオススメされているのは、やはり呼吸。
実際に瞑想に取り組んでもらえたら分かると思いますが、呼吸に意識を集中していていても、必ずいつの間にか別のことを考えてしまいます。
これはまったく悪いことではなく、人間なら絶対に起こってしまう自然現象、空に浮かぶ雲です(何かに集中する、没頭することの難しさが分かりますね;)。
瞑想の本番はここからで、別のことを無意識に考え出してしまっている自分に気づいたら、意識を呼吸に戻しましょう。
いま行っている呼吸に集中 ⇒ 意識がそれる ⇒ 意識がそれていることに気づく ⇒ 意識を呼吸に戻す
大事なのは、無意識状態で沸いている感情や思考に飲まれていることに自覚的になること。
そのプロセスを西洋では「マインドフルネス」と呼び、瞑想の中心となる要素とされているそうです。
これが行えるようになれば日常生活への活かし方として、以下のように瞑想テクニックを使うことができます。
- 怒りの感情に振り回されていてる
- 怒りという感情に支配されている自分に気づく
- 意識的に怒りから距離を置くことができる
あまりにも激しい感情の時には難しいと思いますが、これが使えればメンタルの健康に良さそうです。
これは意識的に使うというよりも、普段の瞑想で「自分の感覚や感情に意識的になる」という訓練が出来ているかに左右されそうです。
そういわれてみれば、自分も日常の些細な場面で自分を支配している感情に自覚的になれることが増えた気がします。
そういう意味では本当に少しずつですが、効果は出てきているのかもしれません。
本書で紹介されている瞑想は呼吸を数えることで自然と意識を呼吸に向けさせる方法で、これはよくオススメされているやり方。
自分は吸うが短く吐くが長いので、数字を数えると不規則なリズムになって不快感を感じてしまいます。
なので数字は数えないようにしてやっていますが、勝手にアレンジしていいのかは少し不安なところ。
あと、瞑想していても調子の悪い時は数秒も集中を保てません。
10分間色んなことを考えているなんてこともしょっちゅう、意識が呼吸からそれていることにすぐ気づければいいんですが……。
ぼーっとすること自体は好きなので、気長にやっていこうと思います。
ハイライト/付箋した箇所
不快な感情が湧いてきた時、私たちはそれを追い払おうとします。それを感じたくないし、近くにいてほしくないと思います。しかし、このような反応は、その感情をより大きく見せるだけです。
感情が浮かんでは消えていくのにまかせることを学び、心の奥にこの意識と視野を保っていれば、どれほどやっかいな感情が襲ってきても、それがどんなに強烈でも、つねに平気だと感じられます(高野 2000:位置No.1027)
私たちは自分の感情に気づいていないことがよくあります。コントロールできないほどの極端なものになれば気づきますが、それ以外の時はただ背景にあって、私たちのものの見方に影響を与えています。また、感情は移り変わりが早く、そうと気づかないうちにいつのまにか気分が変わっていたりして、その点も感情を見分けたり特定するのを不可能に思わせています(高野 2000:位置No.1027-1028)
「感情」は自分が置かれている状況や、自分が体験した出来事の認識(見方)に影響を与えるフィルターのようなもの。
感情を押さえつけようとしても無駄、どころかかえってその感情が大きくなってしまう。
一歩引いて、その感情になっている自分を確認できれば、雲が流れ去っていくように自然とその感情も消えていく。
怒りも喜びもそのテンションをずっとは維持できないので納得。
瞑想を別の言葉で説明するなら「意識すること」です。したがって意識していないなら、あなたは「悪い瞑想」をしているのではなく、まったく瞑想していないのです(高野 2000:位置No.1310)
知恵とは、雷に打たれたように瞬時に人生を一変させるものというより、一滴ずつバケツにたまっていく水のようなものと考えるのがいいようです(高野 2000:位置No.1837)
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