『「自分メディア」はこう作る!』を読みました。
著者はちきりんさん、文庫版、発売は2020年、文藝春秋から。
内容/あらすじとか
ちきりんさんは、2010年くらいのブログ界隈では知らない人がいないくらい有名だったブロガーです。彼女がどんな戦略でブログを運営しているのか、どのように記事を書いているのかを明かした本になっています。
素顔も経歴も伏せたまま始めたブログが月間200万アクセス! 発信力を高めてトップブロガーとなり、早期退職後も自由に生きていく著者が生み出した超戦略的ブログ運営術。メディア運営の原則やエントリを書くための4つのステップとは? 組織に頼らず、「個人の時代」を生きる道しるべとなる必読の一冊。 特別対談・pha
ちきりん(2020)『「自分メディア」はこう作る!』裏表紙 文藝春秋
『「自分メディア」はこう作る!』の感想/レビュー
ちきりんさんはSEO対策(自分のブログをネットの検索結果上位に表示させるための諸々の施策)を意識せずにトップブロガーまで上り詰めた稀有な例。時代に恵まれた面もありますが、鋭い視点と深い洞察で自分の考えを発信し続けた結果なのだとわかりました。
印象に残ったのは、「自分のブログをどうしたいか」という目標を明確にして、それに沿わない仕事の依頼は断っていたという話です。目先の数字やお金だけを求めて割のいい仕事を受けても、長い目で見たときにブログのイメージが壊れたり信頼を損なうようなら断る。「自由な時間」を最優先事項として、労力がメリットを上回るような仕事は受けない。
そんな風に具体的な方針を決めて、大局観をもって戦略を立てていくのは合理的。直近で読んだ本に書かれていた、デンマーク人の人生観、仕事観と似ている点が多くて驚かされました。

- 目標設定:誰(どんな層の人間)に何(どんな価値)を発信するのか
- 方針設定:目標に沿わないことをやらない方針(マイルール)を決める
- 優先順位設定:時間、お金、名誉など、何を大切にするのかハッキリさせる
ちきりん流メディア作りのコツを自分なりにまとめてみました。これらはブログなどのメディア運営以外にも応用できて、特に人生設計で力を発揮するんじゃないかと思います。
自分の人生で何を大切にしたいのか。そのために何をやって、何をやらないか。この何をやらないかが重要で、時間がものすごい速度で流れていることを強く実感する最近は、時間の使い方を見直す必要性を感じています。
『「自分メディア」はこう作る!』のハイライト/印象に残った箇所
印象に残った箇所を引用しつつ紹介。
ちきりんの記事の書き方
- 伝えたいメッセージが決まる(浮かぶ)=ひらめき
- そのメッセージを伝えるための論理構成を決める=思考
- 文章に必要な材料(情報)を集める=作業
- わかりやすく文章化する=技術
(ちきりん 2020:63)
ブログを書くうえでかなり参考になった箇所。ちきりんさんは「ひとつのエントリでは、ひとつのメッセージだけを伝える」というポリシーを持っているそう。本を読んでいたり、人と話していたり、電車に乗ってる時などに浮かんだ考えをメモしてストック。論理構成を決めて、情報を集めて、文章化。
変化することを恐れるな
私は「変わること」も好きです。私のブログも、どこかのタイミングで落ち目になっていくのかもしれません。そういった栄枯盛衰もまた、時代の流れです。どんなものもいつかは終わるし、なくなるし、入れ替わります。だからこそ、すべては儚く美しいのです。何があっても決して壊れない、永久に変わらないなんてものは、むしろ無粋で下品だとさえ思います(ちきりん 2020:187)
変化を好ましく思えるちきりんさんが羨ましいです。自分は変化にしっかりと不安を感じるタイプですが、なるたけ変化を選ぶことをポリシーとしています。そのうえで変えない部分も残す頑固さは、まあいいだろくらいのゆるい感覚ですが…。
何かを得たときは、何かを失っている
駆け引き、交渉ごと、取引の基本は「何かを得た時は、何かを失う」ということであり、「何かを譲れば、何かを得ている」ということです。「勝った!」「得した!」だけなどということはありえません。だから自分にとってどうでもいいことなら、どんどん人を助けてあげればいいし、譲ればいいのです。それはいわば「世の中に貯金する」行為です(ちきりん 2020:247)
自分の要望を通したり、得しようとしたり、対ヒトとの交流ではそれで得たものに対して、自分の信用が失われてるよって考え方。ここで大切なのは「自分にとってどうでもいいことなら」と前置きされてることです。
なんでもかんでも譲ったり助けたりしていれば、無限に搾取する悪人が寄ってくることもあります(意識的であれ無意識的であれ)。大金、多大な労力、時間が絡む場合は譲らないなど、自分なりの判断基準を持っておくといいかもしれません。
この話は、ブログ記事で全文読むことができます。
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