科学っておもしろい!|『渡り鳥たちが語る科学夜話』

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渡り鳥たちが語る科学夜話』を読みました。

著者は全宅樹さん、発売は2023年、朝日出版社から。

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内容/あらすじとか

――真夜中の科学講座、第2幕のはじまりです。

・月のおもて側にだけある海
・土星の環から霧雨が降る
・この世界はシミュレーションなのか?
・青年科学者の命を奪ったデーモンコア(魔物の心臓)
・逆張り・冷笑派は強者の勝利を後押しする?
・砂漠に広がる「妖精の環」のひみつ
・ヒマラヤを渡るツルが巻き起こした小さな奇跡

『銀河の片隅で科学夜話』で寺田寅彦賞受賞!
理論物理学者とっておきの20話。

Amazonより

『渡り鳥たちが語る科学夜話』の感想/レビュー

前作に続いて、ざっくばらんに科学にまつわる様々な興味深いエピソードを語った科学エッセイ。内容は前作よりも難しめ。宇宙、核、昆虫、動物など幅広いジャンルを扱っているので、飽きずに読めます。

ムガール帝国の地方長官だったベンガル太守が、イギリスの東インド会社の捕虜70人を6m四方の箱に詰め込んで多数を圧死させた事件の話が強烈だった。

高度な文明が娯楽としてシミュレーションを行う。その中のシミュレーションが知能をつけてシミュレーションを行うという無限階層の連鎖が続くと考えるなら、この世界が何者かによるシミュレーションである可能性も否定できないという話がおもしろかった。

古代、ブッダが見た、無数の別世界で生を受けた自分の姿。現世の行い、カルマで繋がった無数の自分の話とシミュレーション仮説の類似性。昔の天才が到達した悟りの世界が、現代の科学哲学と出会うことの奇跡。作家や詩人、宗教家の想像力、直感が描いた真理が、科学的に見ても大きくは間違っていないことが多々ある、という話が興味深く面白かったです。

教授が語る科学のあれこれ話がメチャクチャ面白かった|『銀河の片隅で科学夜話』
『銀河の片隅で科学夜話 物理学者が語る、すばらしく不思議で美しい この世界の小さな驚異』を読みました。 著者は全卓樹(ぜんたくじゅ)さん、発売は2020年、朝日出版社から。

『渡り鳥たちが語る科学夜話』のハイライト/印象に残った箇所

核実験の恐ろしさ、デーモンコアの話

核爆弾の開発に科学者たちはなぜ嬉々として協力したのだろうか。それは好奇心の追求が倫理観に基づく抑止を上回ったからであろう。自然界のもたらす悦びは、科学者にとって何物にも代えがたい。その悦びは、科学の産物の犯罪的利用への懸念からくる時制をつねに上回っている(全 2023:73-74)

カナダの物理学者ルイス・スローティンが行った核実験での事故。第二次世界大戦で東京に落とす予定だった3つ目の原爆を使う。誤って致死量の数倍もの放射能を浴びたルイスは、数日後に死去。載っている写真がめちゃくちゃ怖い。

奇癖をもつ司祭バックランドの話

バックランドには奇癖があり、それは目にするあらゆる生き物を口に含み味わうというものであった。家にある生物の標本も、すべて彼の口に入ったものと思われている。(中略)ハーコート卿の晩餐会で、邸宅の収集品のなかにあったルイ14世の心臓のミイラの展示の前に立って、まわりが制止する間もなく手を出し、悠然と心臓を齧ったことが記録に残っている。フランス王の心臓の味についての、バックランドの感想は伝わっていない(全 2023:162-163)

ロンドン、ウェストミンスター寺院の司祭バックランドは、鉱物学や生物学に精通した学者でもありました。そんな司祭のもっていた奇癖の話、オチが面白かったです。

アネハヅルの恩返し?

ヒマラヤを越える渡りの経路を何千万年も変えずに守ってきたアネハヅルであるが、インドに降り立ってのちの経路に関しては、20世紀になってから大きな変化があった。それはたった一人の男の始めた事績に起因する(全 2023:178)

合理的な理由で同じ経路を渡り続けていたアネハヅルに、餌をあげて接待した男がいました。その情報はアネハヅルの中で共有されるようになり、男のところに来るアネハヅルが年々増加。ついにアネハヅルは休憩地点として男のところを経由するようになったそうです。

現在はそこには世界中から観光客、鳥類学者が集まるようになり、付近にはホテルが立ち並ぶようになりました。まさに鶴の恩返し。

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