万葉集って何がいいの?という人向けの本を読んだ話|『入門 万葉集』感想

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入門 万葉集』を読みました。

著者は上野誠さん、発売は2019年、筑摩書房から。

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内容/あらすじとか

私たちがスマホで写真を撮ったりSNSにつぶやいたりするように、古代人は、歌を使って日々の出来事や自分の思いを表現しました。日本最古の歌集の成り立ち、時代の出来事、言葉、人物、場所について親しみやすい超訳とともに解説します。

上野誠(2019)『入門 万葉集』裏表紙 筑摩書房

『入門 万葉集』の感想/レビュー

万葉集の入門書。万葉集がいつ頃、誰が、どんな目的で作ったのかを説明しながら、筆者が選んだいくつかの歌の意味と詠まれた背景、詠み手についての解説と講評をしています。

万葉集は8世紀中頃、大伴家持(おおとものやかもち)が中心となり編纂された日本最古の歌集。収められた歌の数はおよそ4500首、20巻にも及び、天皇家、豪族の家に伝わっている歌から、名もなき庶民、防人(出張農民兵)の歌など幅広くカバーしているのが特徴です。

一言でいえば、万葉集はある出来事や思い出を記録したアルバムのようなもの。カメラやビデオのない時代、歌でその時の思いや出来事が記録されていました。そのアルバムは天皇家はもちろん、各家庭で独自に作られており、家持らはそれらを幅広く収集、選定して万葉集を作りました。

 

万葉集の歌は、訳を見ただけで楽しめるものもあれば、それが詠まれた背景や人物のことを知らなければ意味がわからないものも数多くあります。その意味で4500首すべてを読み込むのは至難の業。しかし手間ひまかけた料理がおいしくなるように、一首一首を丁寧に精読すれば、それに応じた楽しさと世界の広がりを与えてくれます。

一冊の新書で詳しく紹介されている歌はほんのわずか。それだけでも万葉集を楽しみ方を知るよい入門書になっていると思いました。

『入門 万葉集』のハイライト/印象に残った箇所

日本の芸術は、ほとんどが「いかに季節を楽しむか」をテーマにしている

日本には、四季があります。四季があるということは、その四季を活かした生活をするということになります。その季節にいちばんおいしいものを食べ、その季節の花を愛でて楽しむ。日本の芸術は、そのほとんどが、いかに季節を楽しむかということをテーマとしています(上野 2019:47)

茶道、華道、料理、もちろん歌も然り。

人皆は/はぎを秋と言ふ/よし我は/尾花がうれを/秋とは言はむ(作者不詳、巻十の二一一〇)

みんなは「秋といえば萩だ」と言う。それなら自分は「すすきの穂先こそが秋だ」と言おう。

「秋といえば◯◯だよね」という話題で盛り上げる様子が見えてくるような、かなり現代的な感覚に近い歌。逆張りでセンスを出したい人が詠んだに違いありません。

春が来た!何を見たらそう思う?

春がやってきたことを象徴するものは何でしょうか。ある人は雪解けというでしょう。ある人は、つくしんぼうが出たというかもしれませんね。つまり、この場合は、雪解けやつくしんぼうで、春が来たことを表していることになります。ですから、雪解けやつくしんぼうは春を象徴するものだということになります(上野 2019:55)

万葉集を代表するものとして、非常に有名で人気の高い歌があります。

石走る/垂水たるみの上の/さわらびの/萌え出づる春に/なりにけるかも(志貴皇子しきのみこ、巻八の一四一八)

岩の上をほとばしり流れ出る滝のほとりに、わらびが萌え出ている。春が来た。

この歌を音読したときのリズム感は、激しい水の流れを表しているようです。清流。激しく流れている滝のほとりにわらびを見て、春を感じたという独創性。現代の感覚で解釈しても、美しい自然の景色が浮かび上がってくるような、絵画のようにすばらしい歌だと思います。この歌が巻頭(第八巻)に載せられているということは、当時から名歌として評価されていたということだそうです。

言葉を鍛えることは、心を磨くこと

古代の人びとは、言葉には魂が宿ると考えていました。だから、良い言葉をいえば、その魂の力で良いことが起こると考えていました。また、悪い言葉を言えば、悪いことが起こると考えていました。(中略)ですから、言葉を鍛えるということは、心を磨くということと一体のはずです(上野 2019:93-94)

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