満月をまって【絵本】|本当の豊かさ、誇りをもって生きるとはどういうこと?

満月をまって絵本
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2000年3月に亡くなった人気絵本作家クーニーの最後の作品。木の声を聴き、風のうたを編む、かご作り職人の美しい心を描いた絵本。(絵本ナビより)

今回紹介するのは絵本の『満月をまって』。

アメリカの作家メアリー・リン・レイ(文)とバーバラ・クーニー(絵)によって描かれ、掛川恭子かけがわやすこさんが翻訳、2000年に発売されました。

『満月をまって』はどんな本?
本当の豊かさ、誇りを持って生きる大切さについて考えさせられる。
自然と共生するかご作り職人の「心」と、一人の少年の成長が描かれた絵本。

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『満月をまって』のあらすじ、内容

今から100年以上前のこと。

ニューヨーク州のハドソンから遠くない山あいに、木のかごを作って生計を立てている家族がいました。

満月の夜になると、父親はかごを持って月あかりを頼りに、ハドソンの街へと向かいます。

少年は一緒に街へ連れていってもらえる日を夢見ながら、父親たちの仕事を観察してかごの作り方を学んでいました。

 

少年が9歳になった時、とうとう街に行けることになりました。

初めて訪れるハドソンの街に少年の心は踊ります。

しかし、通りすがりの男から心ない罵声を浴びせられてしまうのでした。

 

心に傷を負った少年は、かごを見るのも嫌になりました。

しかし、何週間かたった後、少年は木や風の声に耳をかたむけて、父親たちの作っている丈夫なかごに誇りを持てるようになります。

自身もかご職人として生きていくことを決意したのです。

『満月をまって』の3つのおすすめポイント

『満月をまって』のおすすめポイントは3つあります。

①少年の成長
②職人の持つ情熱と誇り
③本当の豊かさとは

順に詳しく説明していきましょう。

①少年の成長

本作の見どころの一つは「少年の成長」です。

父親に憧れてかご作りの様子を観察する毎日。

初めて街に行って心に大きな傷を負う。

かごを見るのも嫌になって、悩み苦しむ。

職人の誇り高い精神と、かごの素晴らしさに改めて気づく。

一心にかごを作りながら自然の声に耳をかたむける。

こうして状況を並べてみると、少年の成長過程がかごを編むように丁寧に描かれていることが分かります。

②職人の持つ情熱と誇り

父親は罵声を浴びせられることを分かっていながら、少年を街に連れていきました。

かご職人として生きていくということは、差別や偏見、理解されない現実に向き合っていく必要があるからです。

しかし、職人たちはこうした現実に卑屈になっているわけではありません。

自然との暮らしの中で、風が教えてくれたかご作りに打ち込むこと。

自分たちに出来ることを全うする姿を「風は見ている」と考えているのです。

③本当の豊かさとは

街に行くシーンでは、とにかく物が溢れていることが強調されています。

同時に、他者を卑下する人々の心の貧しさも描かれています。

対して、物はないけど自然の中でひたむきにかごを作っている人々。

本当に豊かなのはどちらでしょうか。

もちろん、これは物に溢れていることが悪いという簡単な話ではありません。

「物の豊かさ」と「心の豊かさ」が、必ずしもイコールで繋がらないことを示唆しています。

『満月をまって』の感想

よく悪いことをすると「神様が見てる」、「お天道様が見ている」と言ったりします。

逆に、人知れず善い行いをしたり、淡々と努力している時にも同じ言葉が使われますね。

これらの言葉には、人が見ていないところでの自分の行いを自覚させる働きがあります。

ずるいことをしたり悪いことをしている自分を客観的に見せたり。

報われなかったり理解されない自分を支えたり。

 

どれだけ取り繕っても満足できないのは、自分の本当の姿を自分だけは分かっているから。

「心の豊かさ」は、自分自身に後ろめたくない日々を積み重ねていくことでしか作られないのかもしれません。

『満月をまって』には、そんな「心の豊かさ」を持った職人たちが描かれています。

 

淡々とした文章と落ち着いた色合いの挿絵、この作品に派手さはありません。

しかし、満月が暗い夜道を照らすように、少年の成長、職人の情熱、自然との共生といった、「心の豊かさ」を形成する本質にスポットライトが当たっています。

ちなみに、かご作りは1950年代頃から廃れていって、1996年に最後の職人も亡くなったそうです。

いつまでも使えるように、丈夫に作られたかご。

現在は、博物館や個人の民芸品コレクションでしか見ることができないそうです。

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