世界中でながく愛されつづけている『おやすみなさいのほん』のマーガレット・ワイズ・ブラウンとカルデコット賞受賞画家のレナード・ワイスガードのコンビがおくる一冊。日々、目にうつるものたちを新鮮なおどろきをもって自由にとらえたこの本は、1949年に最初に出版されて以来おおくの人々によみつがれている。(「BOOK」データベースより)
今回紹介するのは翻訳絵本の『たいせつなこと』。
アメリカ出身の絵本作家マーガレット・ワイズ・ブラウンさん、挿絵画家レナード・ワイスガードさんによって1949年に描かれ、2001年に内田也哉子さんが翻訳しました。
身近にある様々なものを大切にしたくなる!
丁寧に生きることの大切さを再確認できる絵本。
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『たいせつなこと』のあらすじ、内容
スプーン、ひなぎく、雨など。
身近にある物や植物、自然などの特徴を丁寧に観察しながら、それらにとって「たいせつなこと」が何であるかが述べられていきます。
対象は見開きで1つずつ、全部で12種類。
ページ数は短く(20ページちょっと)、文字も多くはありません。
『たいせつなこと』で起こる3つの変化
何気なく本屋さんで手にとった『たいせつなこと』。
この絵本を読んだ後には、以下のような心境の変化がありました。
①身近にあるものを丁寧に観察したくなる
②身近にあるものに感謝したくなる
③身近にあるものを大切にしたくなる
順に詳しく説明していきましょう。
①身近にあるものを丁寧に観察したくなる
丁寧に観察するということは、自分の中になんとなく存在している「感性」に輪郭を与える行為。
つまり対象を見ているようで、その実は、自分の内面を観察する行為にもなっています。
例えば、日常で目にする大抵のものは「なんかいいなぁ」とか「これカワイイ」、「すごい」で完結させられますが、表現としては大雑把で抽象的です。
何がいいのか?どこがかわいいのか?どのようにすごいのか?
こうした曖昧な感情を観察することで、自分でも無自覚だった理由があることに気づかされます。
『たいせつなこと』の中でも、観察の整合性や科学的な正誤よりも、それが自分にどう写っているかが大切にされています。
そして、対象にとっての「たいせつなこと」は作者のイメージ、想像です。
それが理屈抜きで納得できてしまうところに詩的な面白さがあります。
自分も身近にあるものを丁寧に観察したくなりました。
②身近にあるものに感謝したくなる
スプーンはものを上手に食べるために作られていて、雨は色んなものをキラキラと輝かせる。
靴は足を包んでくれて、空はいつもそこにある。
それがなぜ存在しているのかを観察しながら考えていくと、すべては感謝へと帰結します。
そこにメリットや意味などなくても、それが存在してくれていること自体が嬉しくなってきます。
③身近にあるものを大切にしたくなる
物は人の暮らしを便利にするために作られていて、自然はそこに在るために最適な形でできています。
そういった諸々を丁寧に観察していると、無下に扱ったり破壊しようと思えなくなります。
ただ、その物のために何かが破壊されていることを考え出すと、キリがなくなってきます。
そんな矛盾を自覚しつつ、せめて目の前にあるものは大切にしていきたいと思いました。
『たいせつなこと』の感想
絵も、ことばも、すべてが丁寧な絵本。
対象を機械的に理解するだけなら、辞書や事典で調べたりネットを使えば簡単です。
しかし、感情の面で理解するためには、自分の感性を使って丁寧に観察することが大切です。
『たいせつなこと』は対象への慈しみを促すような、感情面での理解の大切さを教えてくれる本だと思いました。
短くてすぐに読めるので、お守りのように手の届くところに置いてもいいし、人へのちょっとしたプレゼントにも最適です。
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