精神科医が語るマウンティング対策を読んだ話|『マウントを取らずにはいられない人』感想・レビュー

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マウントを取らずにはいられない人』を読みました。

著者は片田珠美さん、発売は2025年、PHP研究所から。

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内容/あらすじとか

部下が何を言っても否定する上司、学歴を自慢し仕事をえり好みする人、理路整然と自分の意見をまくし立てる人……。なぜ、他人を自分より下位に置きたいという欲望が強い人がいるのか。理由の一つは、「認められたいのに、認めてもらえない」ことへの不満と怒りである。本書では経験豊かな精神科医が、「幻想的願望充足」などマウントを取る人の心理を解説し、対処法を助言する。

片田珠美(2025)『マウントを取らずにはいられない人』カバー袖 PHP研究所

『マウントを取らずにはいられない人』の感想/レビュー

マウントとはネット発のスラングで、社会的順位として自分の方が上位であることを示す行為。語源は喧嘩や総合格闘技などで相手に馬乗りになった優位な体勢から来ていると思われます。

本書は精神科医である筆者が、マウントを取る人の心理を分析して、具体的な対処法や自分自身がマウントを取る人にならないための方法を解説しています。

紹介されているケースでは、マウントというよりパワハラ、モラハラではないかと思われる態度も多いです。しかしそういった人たちの胸中には不満、怒り、羨望、嫉妬などがあり、相手を否定したり攻撃することで自分の方が上だと感じようとするという点で広義にマウントだと言えます。

相手にマウンティングされていると自覚できればいいですが、厄介なのは知らず知らずのうちにマウンティングされてメンタルを蝕まれてしまうことです。自分の周りにそういう人はいないと思っていても、様々なケースのマウントを知っておくことで意外な心理があぶり出されるかもしれないし、今後の人生でマウントを取ってくる人に出会った時のショックを和らげることができます。

後半では自分がマウントを取るような陰湿な人間にならないための方法が紹介されています。それはよくないことだから我慢しましょうといった力押しではなく、自分のなかに羨望や嫉妬という感情がわいたときにまずはそれを認めるという対処法です。

病気やアルコール依存の人に、「自分は病気じゃない」、「アル中じゃない」といって認めない人がいるそうですが、マウントを取る人の心理も起点は同じ。嫉妬や羨望、不満や怒りを認めてしまうと対象よりも自分が下だと認めることになってしまうので、その感情を認めずにマウントを取ってしまうそうです。自分の感情を受け入れることが大切というわけです。

『マウントを取らずにはいられない人』のハイライト/印象に残った箇所

人はなぜマウントを取るのか?

自分が相手に対して優位な立場に立っていると実感し、それを相手にも思い知らせることは、強い快感をもたらす。マウントを取ると気持ちがいいからこそ、繰り返すわけで、この傾向は強い自己愛の持ち主ほど顕著に認められる。(中略)なかには、承認欲求が満たされず、「自分は本来ならもっと認められてしかるべきなのに、誰も認めてくれない」と不満と怒りを募らせているがゆえにマウントを取る人もいる(片田 2025:16-17)

現代社会はマウントを取ってくる人が生まれやすい

現代の日本社会には、マウントに拍車をかける社会的要因がいくつもある。まず指摘しておきたいのは、アメリカを見習うあまり、自分を好きになって自尊心を持つことを推奨し、自己表現や自己主張ができる人間を育てようとしたせいで、多くのナルシストを生み出し、「自己愛過剰社会」になってしまったのではないかということだ(片田 2025:17)

「自己愛過剰社会」はアメリカ発の言葉で、同名の本が出版されているほど問題になっているそうです(ナルシシズムが流行病になっている)。

自己肯定感や自尊心が高いのはいいことですが、それが過剰になると問題が生じてきます。能力主義の社会で人々は競争にさらされ、望む成功を得られる人はほんの一握り。そして大半の人は自分の現状を受け入れられず、他者に対してマウントを取ることで自身の優位性を保とうとしてしまいます。

日本では「親ガチャ」という諦観、能力への他責的な考え方が話題になったこともあります。実際、親の所得格差によって教育格差が生まれてしまう「ペアレントクラシー(親の影響力が強い社会)」という言葉があるそうです。一度生まれた格差は固定化され、よほどのことがなければ一発逆転も敗者復活もないといった状況も、人々をマウントに走らせる要因になっているとのことです。

自分がマウントを取る人にならないために

あからさまに自分の能力や地位を誇示する場合はもちろんだが、本人は自慢していることがわかりづらいようにそれとなく自身の優位性をほのめかしているつもりでも、「自慢したいんだろうな」と容易に気づかれてしまう。(中略)そうなると、やはり敵意や反感を買う。それだけではない。羨望と嫉妬をかき立てることもある。これが一番怖い。うらやましいとか、ねたましいとか思う相手を引きずりおろそうとする人はどこにでもいるからだ(片田 2025:176-177)

露骨なマウントを隠すために、自分を卑下しながら話したり、困ってるふりをしてもそれはバレバレ。これは恥ずかしい……。

自分の負けを認めたら自己愛が傷つく。それに耐えられないので、決して認めようとしない。逆に、自分のほうが勝っている点を挙げて自慢したり、相手のあら探しをして価値を否定したりしてマウントを取る。(中略)そうなりたくなければ、自身の心にも羨望や嫉妬が巣くっていることを自覚するしかない。
つまり、己の陰湿な感情に気づく必要がある。気づいて初めて対処できる。無自覚のままでは対処のしようがない(片田 2025:180)

真摯に自分の感情に向き合い言語化することで、歯ぎしりするほどの悔しさやいら立ちを鎮め、気持ちを整理することができると筆者は述べます。

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