コロナ禍で自宅時間が増え、大人も子供もスマホやパソコン、ゲームやSNSに費やす時間が増えていませんか?欧米では運動不足や睡眠不足、うつになる児童や若者の増加が問題になっています。記憶力や集中力の低下、成績悪化、心の病まで引き起こす、そんな毎日を一変させる方法をベストセラー『スマホ脳』のハンセン先生が教えます。教育大国スウェーデンの教育現場を変えた、簡単なのに科学的な方法とは!?
アンデシュ・ハンセン(2021)『最強脳『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業』(久山葉子 訳)カバー袖、新潮社
今回紹介するのは『スマホ脳』。
著者はアンデシュ・ハンセンさん、2021年に久山葉子さんの翻訳で新潮社より発売されました。
【どんな本?】
脳にとって一番良いエクササイズは体を動かすこと。なぜ運動が脳に良いのか、具体的にどんな効果があるのか、どんな運動をすればいいのかを解説した本。
【こんな人にオススメ】
・あらゆる能力をレベルアップさせたい人
・自分に自信がない人
・運動不足な人
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『最強脳『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業』のあらすじ、内容
デジタルデバイスが脳に悪影響を与える可能性を示唆した『スマホ脳』。
その後、筆者には多くの人から「これからどうすればいいのか」「脳に一番いいことはなにか」という質問が寄せられたそうです。
本書はそういった質問への答えとなっており、その内容はわずか一行にまとめることができます。
「運動をしよう ーそうすれば脳は確実に強くなる」
『最強脳『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業』で印象に残った箇所
『最強脳『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業』で印象に残った箇所は3つあります。
①運動は脳を鍛える最強の手段
②運動でゲームが上手くなる
③時間の使い方を考える
順に詳しく説明していきます。
①運動は脳を鍛える最強の手段
実は、この本の結論は一言で言えてしまいます。
運動をしよう ー そうすれば脳は確実に強くなる。(久山 2021: 4)
様々な研究で、運動があらゆる認知機能を高めてくれることが分かっているそうです。
・発想力UP
・記憶力UP
・集中力UP
・自信UP
・ストレス耐性UP
・リラックス効果
・睡眠の質改善 etc
特に印象深かったのは、能力の向上だけでなくマイナス要素も改善してくれるということ。
運動でストレス解消は昔から言われていることですが、運動後もストレスに強い体になっていくというのは驚きでした。
ストレス耐性も自信も運動を続けることで、雪だるま式に強くなっていくそうです。
②運動でゲームが上手くなる
研究によれば、毎日体を動かしている子供や若者の方がストレスにあまり反応しない、つまりストレスに強いことが分かっています。プロのゲーマーがどれほどのストレスにさらされているかは、すでに説明した通りです。ストレスに強い方がゲーマーとしても当然有利です。
他にはどのような能力が必要でしょうか。マルチタスク能力(同時に色々なことが出来る能力)、作業記憶の能力(短気記憶のうち、何かをやっている最中に使える記憶力の容量が大きいこと)、計画実行能力(情報を整理して計画し、他のことに気を散らされない能力)……そういった能力も運動によって上がることが分かっています。(久山 2021: 140-141)
ゲームに必要な様々な能力も、すべて運動で向上させることができる。
あまりにも万能過ぎて信じがたいですが、ゲームで上達したいなら意識的に運動を取り入れるべきだと筆者は述べます。
③時間の使い方を考える
今の大人が子供だった頃に比べて、子供が遊ぶ時間は減っています。友達と会ったり、スポーツをしたり、勉強したり、寝たり、本を読んだりする時間も減っているそうです。楽器を弾くことも減りました。それが典型的な現代の子供の生活です。
一方で、昔に比べるとスマホやタブレット、パソコンやテレビといったスクリーンの前で過ごす時間がとてつもなく増えています。それ自体は悪いことではないのですが、他の大事なことをやる時間が減ってしまうのは困ります。(久山 2021: 160-161)
勉強にしろ、スポーツにしろ、楽器にしろ、上達して楽しさを感じるまでには時間がかかります。
しかし、今の子供たちは楽しくなるまで待つことが出来ないそうです。
その理由として筆者は、「今の子供たちはすぐにご褒美をもらうことに慣れてしまっているから」だと推測しています。
これは、子どもだけに限らず大人にも言えるのではないでしょうか。
余暇時間にゲームやスマホに興じるのはその人の自由ですが、「どう時間を使うかを決めているのは自分だ」ということを改めて意識した方がいいと思います。
『最強脳『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業』の感想
①運動の効果は肌で知っていた
部屋にこもって本を読んだりブログを書いていると、運動する時間はどんどん減っていきます。
自分の場合はそれで肩や首のこり、眼精疲労に悩まされるようになったので、息抜きとして散歩をするようになりました。
これが想像してた以上に効果的で、息抜きのレベルを超えて「楽しい」になっていったのです。
季節の変化を楽しみながら同じコースを歩いたり、深夜にコンビニを目指してひと気のない道路を歩いたり。
発想力や記憶力は体感としてわかりにくいですが、リラックス効果はかなり感じていました。
加えて言うなら、運動はできるだけ自然の中で行った方がいいことも知っています。
自然の効果に関しても多くの研究があるようですが、こちらも身を持って十分過ぎるくらいに感じています。
あくまで主観になりますが、自然にはたいへんなリラックス効果があると思います。
②学生時代は最強の環境だったはず…?
運動は体を動かすなら何でもOK(散歩なら少し息が上がるくらい)。
週に2、3回、1回30分くらいで様々な効果が得られる。
この生活習慣は学生であればほとんどの人がクリアしていると思います。
通学での自転車や徒歩、部活動、無所属でも週に2、3回は体育の授業があります。
つまり、学生時代は誰もが完璧に近い状態で脳を鍛えているということになります。
しかし、実際はどうでしょうか。
少なくとも自分は勉強に身が入らず、集中は続かず、だった気がします。
ページをめくりながらそんな疑問を抱いていましたが、これに関しては前頭葉(衝動を抑えたりブレーキをかける理性の部位)が未発達だったということで説明ができそうではあります。
よく「脳は後ろから前に向かって成長する」と言われますが、一番前の方にある前頭葉が完成するのは、なんと25歳くらいになってからなのです。…(中略)…脳の他の部分はもっと早い段階で完成します。例えばドーパミンのシステムなどは子供の頃にはすでに機能していて、10代の頃は活発過ぎるくらいです。つまり、10代の子供の脳はごほうびに非常に弱いということになります。(久山 2021: 154-155)
③運動は楽しむもの
学生時代は誰もが運動習慣を持っていましたが、皮肉にも学校の体育や部活動で運動が嫌いになる人も多いと思います。
それはクラスや部内で常に誰かと比較されたり、体力の限界を超えた苦しい運動を課せられるからではないでしょうか。
筆者がすすめる運動は誰かと競ったり、記録や成果を求めるものではありません。
運動は楽しむもので、それ自体がゴールでもあるのです。
この主張には全面的に同意します。
運動というのは、人と競うものではありません。長さや時間を正確に測定する必要もなければ、記録を抜かなければとかメダルを取らなければとかいうものでもありません。競うのが好きならもちろんやって下さい。でも競うのが嫌いでも、運動はしましょう。
自分とまったく同じレベルの人はいませんし、好きな運動も人によって違います。だから自分のレベルを考え、自分なりの運動をやってみれば良いのです(久山 2021: 193)
まとめ
小中学生向けに書かれたというだけあって、分かりやすく平易に書かれていました。
健康維持にとどまらず、様々な能力まで向上するという運動万能説。
その内容はあまりにも人体に有益過ぎて胡散臭くすら思えます。
しかし、自分の場合は運動を始めて心身の調子が良くなった経験があったので、すんなりと受け入れることができました。
ただ、集中力や発想力がどれくらい変化しているのかは、よく分かりません。
良くなっているような気もすれば、そうでもないような気もします。
自信…はいつもありませんが、運動習慣ができてから図太くなったような、逞しくなったような感覚はかなりあります。
自信自体はなくても、ないままに行動すること、ない状態を上手くコントロールする、メンタルコントロールが上手くなった気がします。
もちろん、これらの効果に運動がどれだけ影響しているかは不明です。
マインドフルネス系の本で学んだから、年を重ねて色んな面で大雑把になったから、食生活、睡眠、人間関係の微妙な変化などなど、色んな要素が考えられます。
とにもかくにも、適度な運動で体に悪いことは一つもないと思うので、運動は今後も続けていこうと思います。
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