言葉は感情という氷山の一角を表す目印でしかない|『生きる言葉』感想・レビュー

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生きる言葉』を読みました。

著者は俵万智さん、発売は2025年、新潮社から。

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内容/あらすじとか

スマホとネットが日常の一部となり、顔の見えない人ともコミュニケーションできる現代社会は、便利な反面、やっかいでもある。言葉のちからが生きる力とも言える時代に、日本語の足腰をどう鍛えるか、大切なことは何か――恋愛、子育て、ドラマ、歌会、SNS、AIなど、様々なシーンでの言葉のつかい方を、歌人ならではの視点で、実体験をふまえて考察する。

俵万智(2025)『生きる言葉』カバー袖 新潮社

『生きる言葉』の感想/レビュー

歌人である筆者が、日本語の足腰をどう鍛えるか、生きる言葉とは何かを考えたエッセイ。いつでも誰とでも顔を合わせずにコミュニケーションができる現代は、言葉の大切さが上がってきていると言えます。つまり言葉の力は生きる力と言えます。

内容は子育てのことから、ラップ、ネットスラング、SNSのやり取り、AI、ドラマまでさまざま。言葉の意味や効果を分析する歌人の目は非常にクレバーです。それでいて、時代や媒体に合わせて変化し続ける言葉の世界を筆者自身が楽しんでいるようで、さまざまなことに理解と好意的な解釈を示す視線はどこまでも優しいように思えました。

選択肢が多いからこそ、何を書いて何を書かないか強い意志を持つという美意識。助詞(ex. 映画で「も」見に行きませんか)の一文字にも、そこに隠れた心理と効果を考える姿勢には、三十一文字で表現し続けてきた筆者のこだわりが垣間見えました。ホストへの短歌指導を通して出来上がったという『ホスト万葉集』、機会があれば読んでみたいです。

『生きる言葉』のハイライト/印象に残った箇所

形に残らなくても、心に一生残る言葉がある

芝居の言葉は一瞬で、古典の言葉は永遠……とやや図式化してしまったが、モノとして留めておけないことと、心に刻まれることとはまた別次元だ。自分は生きている限り、この夜に浴びた俳優たちの言葉を、折に触れて思い出すことだろう。現象としては一瞬でも、自分の心には永遠に生き続ける言葉たちである(俵 2025:54)

言葉は感情という氷山の一角を表す目印でしかない

身もふたもないことを言うと、実は言葉で100パーセント気持ちを説明するのは不可能だ。でも、それは言葉が無力だということではない。(中略)自分の感じているこの気持ちを伝えたくて、人は、たとえば「うれしい」とか「かなしい」とか「こわい」という言葉を発明した。でもそれは気持ちのほんの一部というか、目印のようなもので、全部を説明しているわけではない。けれど、なにもないよりはずっと助かる目印だ(俵 2025:128)

短歌を作るとなったら、その後の生活での感情や言葉への意識が変わる

来週までに一首、作ってきてくださいと宿題を出されたら、たぶんあなたのこの一週間の心の持ち方は変わるはず。ちょっとしたことに心を立ちどまらせ「これ、短歌になるかな?」と考える。慌ただしい日々の中で、それはとても贅沢な時間だし、丁寧に生きるということにもつながる。心が立ちどまったその時、もう歌ははじまっている(俵 2025:233)

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