EASY FIGHT|とことんシンプルに考える!堀口恭司の自伝エッセイ【感想/レビュー】

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「最強のMade in Japan」が明かす格闘家としての半生
ごちゃごちゃ語るな。やるべきことに集中しろ。
結局、「本物」しか残らない。

堀口恭司『EASY FIGHT』カバー帯 幻冬舎

EASY FIGHT』を読みました。

著者は格闘家の堀口恭司さん、発売は2023年、幻冬舎から。

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EASY FIGHTの内容/あらすじとか

格闘家・堀口恭司さんが自身の生い立ちから現在までを語った自伝エッセイ。

物事に対する考え方、格闘技への向き合い方、「強さ」「最強」の定義など。

自身の持つ哲学を包み隠さず明かしています。

EASY FIGHTの感想/レビュー

淡々とした語り口で簡潔に書かれており、非常にさっぱりとした、自分が堀口選手に抱いているイメージ通りの内容でした。

まえがきから最後のページまで一貫して強調されているのは、「物事を難しく考えず、やるべきことだけに集中しろ」ということ。

非常にシンプル。

 

堀口選手は数多くの試練や逆境を経験しています。

しかし、そこに悲壮感やシリアスさはありません。

困難に直面しても悲観せず、どうすれば問題を解決できるかだけを考える「思考のプロセス」が淡々と書かれています。

本人は「自分は感情が希薄」「アホなんで笑」と述べていますが、言い方を変えれば天才的とも言えるアスリートマインドです。

 

ただそれで片付けてしまうと、凡人としては学びがなくて困るところ。

注意深く読むと、堀口選手は決して感情が希薄なロボットではなく、ときには不安や怒りといった感情を感じていることが確認できます。

つまり、いくら感情が希薄だからといっても、マイナス感情が起こらないわけではないとうこと。

湧き上がった感情が必要か必要でないかを判断して、意識的に距離を置くという作業を行っているのです。

 

ここで大切なのは「自然に湧き上がる感情に対して、どう反応するかを意識的に決めている」という部分。

堀口選手は「アホ」を、いかにシンプルに目標だけにフォーカスできるか、というのめり込める性格を指す言葉として使っています。

だから、その意図を理解しないままに「自分、アホなんで」「不安とかはまったく感じないすね」といったコメントを見ると、堀口選手がメンタルの強い特別な天才に見えてしまうわけです。

もちろん、生来の気質として楽観的かつ合理的、感情の起伏が少ないことは才能だと思いますが、それに近いマインドはスキルとして後天的に身につけられるのではないかと思いました。

湧き上がる感情に支配されずに、今やるべきことに集中する技術

それを鍛えるには普段からその意識を持つこと。

より具体的な訓練としてはマインドフルネス、瞑想が近そうです。

「さっきから何をごちゃごちゃ言ってんだ」と一笑されそうですが……笑

他、興味深いものとして以下のトピックについても詳しく語られていました。

  • 朝倉兄弟、朝倉海戦について
  • 那須川天心、那須川天心戦について
  • 山本KID、二瓶先生の話
  • ブレイキングダウンに思うこと
  • ステロイド問題に思うこと

ハイライト/付箋/印象に残った箇所

もし挑戦して失敗したら、次にまた修正して挑戦すればいい。
失敗なんて成功するための階段みたいなもの。
自分はそういう基本的なことを子どもたちには伝えたい。
いや、子どもだけではなく、大人だって夢や目標があるなら、そこに向かって突き進めばいい。
その方法は至ってシンプル。
難しく考えすぎないこと。(堀口 2023:5)

いかに強くなるか。それを考え続けてここまでやってきたのだから、泣き言や言い訳をするくらいなら、次の試合を目指して、今すぐ練習をした方がいい。
自分が生きているのは勝負の世界であり、さまざまな人たちがいろんな評価をするプロの世界。だから、結果がよくなければ改善し、次に進む。
何があっても大げさに考えず、あくまで淡々と普通に。(堀口 2023:84-85)

ただ、悲しいことや苦しいことを含め、決してプラスではない感情や思考が自分の脳裏を駆け巡った時は、「これ、今考えてもしょうがねえか」となってパッと切り替えることにしている。たとえそんな感情が湧き上がっても、ある程度のところで引き離す。(堀口 2023:90)

必要なのはビビることでもないし、相手を過大評価することでもない。
自分のベストパフォーマンスを出すこと。
自分を信じて勝利を手に入れること。
そのために練習し、研究し、努力すること。(堀口 2023:106-107)

自分は5歳の頃から空手をやってきたし、精神論で生きてきた時代もあった。
それが重要な時期もあるし、自分にもその感覚が染み付いている部分もあると思う。
アメリカではその価値観をいかに変えるか。
自分はそのための努力を常にしてきたし、今は試合に関する勝ち方やコツを教わっていると思う。
たとえるならハイブリッド。
日本の良い部分とアメリカの良い部分を自分なりに混ぜ合わせて日々の練習に活かしている感じになる。(堀口 2023:126-127)

では、なぜSNSなどで精神論や根性論を言う日本人が実は精神的に弱いのか。
自分が思うに、おそらくそれは複雑に、ネガティブに考えすぎ。
自分を行ってはいけない方向に洗脳してしまっているし、悪い方向の思い込みをしてしまっているからだと思う。
逆に楽しさを追求すると、練習方法に進化が生まれるから、効率良く強さを追い求めることにつながっていくのかもしれない。(堀口 2023:127-128)

少なくとも、自分がプロになると決めた時には、これで死ねるならそれでもいいと思ったし、誰に反対されても意志を曲げなかった。
おそらく、そのくらい腹をくくれるようにならないと、どこへ行っても成功しない気がする。(堀口 2023:207)

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