『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』を読みました。
著者は三宅香帆さん、発売は2019年、サンクチュアリ出版から。
内容/あらすじとか
『バズる文章教室』は、〝文才〟と言われる「すぐれた文章感覚」を、できるだけ平易な言葉を使って解説する本です。
主にブログやSNSなどで日常的に、自分の考えや体験などを発信している人に役立つようにと考えて作りましたが、めったに文章を書かない人にも、これから文章を書いてみようと考えている人にも、あまり知られていない「読みたくなる文章のからくり」を楽しんでもらうことをめざしています。(Amazonより)
『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』の感想/レビュー
どうすれば読み手に楽しんでもらえる文章を書けるか。
従来、文才という一言で片付けられていた抽象的な概念を、法則として言語化した本。
文豪、アイドル、ブロガー、大学教授などが書いた古今東西の名文を紹介して、それが名文たるゆえんを分析。具体的にどんなテクニックを使っていて、どんな効果があるのかをわかりやすく解説しています。
その内容を一度に覚えることは難しいので、自分が文章を書く時にパラパラめくって「今日はこのテクニックを使って書いてみよう」という感じで使うのが良さそうです。
もしくは紹介されている名文で気に入った人の文章をたくさん読んでみるのも、時間はかかるけどいい修行になると思います。
『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』のハイライト/印象に残った箇所
印象に残って、なおかつ簡単に取り入れらそうなテクニック。
ふたつの要素の掛け合わせて、文章に奥行きを生む
たとえば「文章は読まれてナンボ」を語ろうとしてる場合、
>今回は文章とアイドルについて書きます。
>今回は文章と言葉について書きます。
>今回は文章とコンビニのお弁当について書きます。と書いてみました。
以上はなんの計画性もない書き出しです。
なのですが、なぜかそうやってふたつの言葉を並べてみることによって、思考はふたつの言葉の共通点、相違点、類似点などを見つけ、展開させようと働いてくれる気がする!文章が走り出しやすい書き出しだと思いませんか?(三宅 2019:51-52)
書きたい事柄に対して、なんの関係もなさそうな言葉を隣に置く。ベタなテーマでも組み合わせ次第で、いくらでも個性が出せそうだし、自分にしか書けない文章が作れそうです。
「ポテチとゲーム」、「池と恋」、「老人とバット」…、ほんとうに適当に思いついた言葉を並べただけですが、それでちょっとした文章や話が書けそう…!
考えてみれば、漫画やアニメのテーマも異なる要素のかけ合わせで作られていることが多いです(例 女子高生×趣味、異世界転生×職業、ヤンキー×教師など)。
ちなみに本書で紹介されている北原白秋の文章では、「桐の花×カステラ」が組み合わされています。
つなぎ言葉(接続詞)を隠す効果と意味
伝わりやすい文章を書こうと思ったら、一文一文に接続詞をあてがうのは基本中の基本です。
しかし!接続詞が多くなればなるほど、文章はだんだん“鈍くさく”なるんです。
(中略)
接続詞の使用を我慢して、ここぞというときに使うと、読み手に強く印象づけることができます(三宅 2019:103-106)
接続詞を削るのはアクセルを踏むようなもの。文章のテンポをよくしてスピードを出すことでふいに入れる接続詞がブレーキとなり、そこから先の部分を強く印象づけることができます。
文章のなかで、たいていの接続詞は削ることができます。
しかし、逆説は削ると意味不明になりやすいそうです。
さまざまな角度から見る
こういう視点がある。
ただ、こういう視点もある。
ただ、こういう視点もあった。
なかなか結論を出さずに、揺らぎ続ける。
そして自分の意見が、何度も別の視点に戻されるたび、「限られた視点から、物事の善悪を決めつけない」ことの必要性に気づかせてくれます。
(中略)
結論を出さずに、ぐっとこらえて、揺らぎ続ける。
そんなふうに負荷をかけ続けることによって、心の筋肉がきたえられ、文章に深みが増していくんです(三宅 2019:223)
視野を広げる、複数の視点で考える、他者の気持ちを想像する。
難しいことで、終わらないこと。いつも意識していなければと思います。
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