トム・ソーヤの冒険|誰よりも遠くへ!100年以上読み継がれるジュブナイル

トムソーヤの冒険岩波少年文庫
当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

ミシシッピ川沿いの小さな村を舞台に、わんぱくな少年トムが浮浪児ハックを相棒に大活躍するゆかいな冒険物語。因習にとらわれがちな大人たちに逆らってたくましく生きる子どもたちの姿を描きます。世界じゅうの人びとから熱狂的に愛されてきた少年文学の傑作。

マーク・トウェイン(1988)『トム・ソーヤの冒険 上』(石井桃子 訳) カバー袖 岩波書店

トムは仲よしのベッキーと二人で、奥深いまっ暗な洞穴で迷子になり、三日三晩とじこめられてしまいます……。大人たちの思惑をよそに、自然の中で自由にのびのびと生きる子どもたちの夢と冒険を描いた名作。

マーク・トウェイン(1988)『トム・ソーヤの冒険 下』(石井桃子 訳) カバー袖 岩波書店

今回紹介するのは岩波少年文庫の『トム・ソーヤの冒険』。

1876年にマーク・トウェインによって書かれ、1952年に石井桃子が翻訳。

1988年に改訂版が出版されました。

【どんな本?】
開拓期(19C後半)のアメリカを舞台に、わんぱく少年トム・ソーヤの冒険を描いた作品。
親友のハックやガールフレンド・ベッキーたちとの間に起こったいくつかの出来事を描いている。

【こんな人にオススメ】
・少年少女
・かつて少年少女だった大人
・自由な想像力を養いたい人

開催中のAmazonキャンペーン

『トム・ソーヤの冒険』のあらすじ、内容

トム・ソーヤはいたずら好きのわんぱく少年。

弟のシッドと共に、亡くなった母の姉であるポリー伯母さんの元で暮らしています。

学校の勉強や家の手伝いが大嫌いなトムは、いかにサボるかに知恵を働かせては先生や伯母さんに叱られる日々を送っていました。

 

そんなトムの親友ハックルベリー・フィンは、町外れで一人で生活しているホームレスの少年。

トムとハックは日々いたずらや遊びに興じていましたが、ある日の夜、墓地で殺人事件を目の当たりにします。

『トム・ソーヤの冒険』の感想

①圧倒的なジュブナイル感

大人ほど常識的ではなく、幼児ほど無力ではない。

トムの冒険は、トムが大人になる前の少年でなければ生まれないものだったと思います。

家出して無人島生活をしたり、宝探しで化物屋敷を探検したり、洞窟の中で迷子になったり。

トムの冒険は勇気と知恵に加えて、常識にとらわれずに行動する力が必要不可欠なのです。

 

トムの中には日常を楽しく過ごすアイデアが溢れており、それを実行するトリガーが親友のハックやガールフレンドのベッキーだったりします。

スタンドバイミーやMOTHER(ゲーム)のように、トムソーヤの冒険には少年時代の輝きと郷愁が満ちています。

ここで、この記録はおわる。これは、厳密に言って、ある「少年」の物語なので、ここでおしまいにしなければならないのだ。もしこれ以上つづければ、それは、ある「男」の物語になってしまう(石井 1988: 243)

②日常と冒険の配分が絶妙

トムの冒険は、あくまでトムの生活圏内で起こっている出来事です。

ゆえに、トムがいつも冒険しているわけではないことが、感情移入しやすいポイントだと思いました。

 

トムは毎日学校に通っており、家の手伝いで塀のペンキ塗りをして、日曜には教会にお祈りに行きます。

転校生のベッキー・サッチャーを好きになり、いけ好かないクラスメイトと喧嘩したりもします。

学校の勉強、教会のお祈り、家の手伝い、トムにとっての退屈な日常が、ハックとの冒険をより輝かせているのです。

同時に、日常は冒険の後に必ず帰ってくる場所でもあるので、自然とそこに安心感や愛おしさが生まれてきます。

 

作中では日常と冒険の境界線として、たびたび昼夜が使われます。

日中に約束して、夜中にこっそり家を抜け出す。

ハックが猫の鳴き真似でトムを呼び出しに来る。

夜に出かける」が冒険の入り口になっているのは、なんかいいですね。

③ハックルベリー・フィンという強烈な魅力を持った人物

ハックルベリー・フィンは、作中でも特に異彩を放っているキャラクター。

トムはもちろん、トムの友達もみんな学校に通っている中、ハックだけは学校に通わず自由気ままに暮らしています。

大人たちはハックを嫌い、子どもたちに「ハックとは遊んじゃいけません」と教えています。

 

しかし、遊んじゃいけないと言われたら遊びたくなるし、毎日が休日というライフスタイルが無邪気に羨ましく思えるのは無理もないこと。

ハックは大人の因習やしがらみ、常識から外れた自由の象徴なのです。

 

物語の後半、普通の生活を手に入れかけたハックですが、どうしても「普通」に馴染めないと語るシーンが印象的でした。

「だけど、みんなそういうふうにしてるんだよ、ハック。」

「トム、それだっておんなじこった。おらあ『みんな』じゃねえし、おらにゃ、あれはがまんできねんだ。あんなにしばらいちゃって、いやなこった。それに、あんまり食い物の心配がなさすぎらあ。あんなふうに食ってれば、おらあ、食ったっ気しねえや。釣りにいくったって、許してもらうんだし、泳ぎにいくったって、許してもらうんだー何するったって、許してもらわなくちゃなんねぇなんて、ばかくせえ。(石井 1988: 243)

普通の生活といっても、それはその時代に多数派だった生活なだけです。

誰もが「みんな」ではないからこそ、「自分」がどんな生活を送りたいか、自分の頭で考えて追求していく。

それが大人の冒険ではないかと思います。

まとめ

トムソーヤの冒険は、子どもの頃に絵本で読んだくらいの記憶しかありませんでした。

話は断片的に覚えているものもありましたが、まったく知らなかったエピソードが多数。

そのどれでもが子ども心をいい具合に揺さぶるもので、その辺は時代、国を問わず普遍的なのかなと思いました。

 

ちなみに、自分は平行してアニメ版も見たのですが、そちらも非常に面白かったです。

アニメには小説にないオリジナルエピソードが多く、それらが作品世界をより魅力的にしています。

個人的なオススメは23話「ナマズ釣りの日」と、26〜31話までのハックを中心とした回。

リゼットとハックのエピソードは、まっすぐでひたむき、そして不器用なハックの優しさに心を打たれました。

それとOP、EDは歌詞・メロディ・映像ともに素晴らしいの一語に尽きます。

ハックルベリー・フィンの冒険|旅立ちはいつだって真夜中のにおいがする
今回はマークトウェインの『ハックルベリー・フィンの冒険』を読みました。 訳は千葉茂樹さん、発売は2018年、岩波書店の岩波少年文庫から。 原著が出たのは1885年、古典も古典っすね。 19世紀、南北戦争以前のアメリカ南部。気ままに生きる少年...

コメント

タイトルとURLをコピーしました